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☆★☆ 〜 金 融 実 務 メ ル
マ ガ 『 金 融 時 事 通 信 』 〜 ☆★☆
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★☆★ 平成22年12月10日(金)第3版
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│Topix : 適 合 性 の 原 則 に つ い
て
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本日のTopixは、金融商品取引法
第40条「適合性の原則」についてです。
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│※もくじ =====================================================
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┃1
… 「適合性の原則」とは
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┃2 … 確認すべき4要素
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┃3 …
社団法人・日本証券投資顧問業協会の対応
┗━
┃4 … 最近の判例
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■□│1 :
「適合性の原則」とは
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┃金┃融商品取引業者には、
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利用者保護の観点から、顧客の勧誘にあたって、
金融商品に関する顧客の知識、経験、財産、投資目的に照らし、
不適当な勧誘をしてはいけないというルールが規定されています。
これが、「適合性の原則」と言われるものです。
条文を見てみましょう。
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〔金融商品取引法第40条〕
金融商品取引業者等は、業務の運営の状況が次の各号のいずれかに該当することの
ないように、その業務を行わなければならない。
1号
金融商品取引行為について、顧客の知識、経験、財産の状況及び金融商品取引契約を
締結する目的に照らして不適当と認められる勧誘を行って投資者の保護に欠けることと
なっており、又は欠けることとなるおそれがあること。
2号
前号に掲げるもののほか、業務に関して取得した顧客に関する情報の適正な取扱いを
確保するための措置を講じていないと認められる状況、その他業務の運営の状況が
公益に反し、又は投資者の保護に支障を生ずるおそれがあるものとして内閣府令で定める
状況にあること。
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この原則は、顧客の状況を総合的に考慮して、
それにふさわしい勧誘をすることを求めているものです。
従って、顧客の知識や経験等に関係なく、「一律、高齢者にはリスク性商品を販売しない」
「一律、高齢者には親族の同席がなければ販売しない」等の対応は、
必ずしも法の趣旨にそぐわない対応です。
顧客ごとの状況に応じたきめ細かで柔軟な販売・勧誘が行われることが、
利用者・金融商品取引業者の双方にとって望ましいと考えられています。
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■□│2:確認すべき4要素
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┃金┃融商品取引業者は、
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自社の売上増やノルマ達成の為に、営業職員が投資経験の少ない顧客に
複雑な金融商品を勧めたり、余剰資金の少ない顧客に複雑×ハイリスクな金融商品を勧める等、
ともすると不適切な営業が行われがちです。
そこで、金融商品取引法では、
金融商品に関する
@顧客の知識
A経験
B財産の状況
C金融商品取引契約を締結する目的
以上、4つの要素を確認することで、顧客ごとにふさわしい勧誘を徹底し、
一層の利用者保護を図ることを定めています。
それでは、各要素ごとに内容を見て行きましょう。
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■@顧客の知識
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顧客の知識としては、まず、販売する金融商品の内容(どんな商品で構成されているか、割合等)
抱えるリスクやその仕組み、特性など、金融商品に関する内容をきちんと理解されている必要が
あります。
当然、金融商品取引業者には、その金融商品の内容やリスクを理解する為に必要な情報を
事前によくよくよく説明する義務があると言えます。
また、個別の金融商品に関する内容以前に、
市場の仕組みの理解(価格が変動すること、どんな要素で価格が変動するのか等)等についても、
ある程度の判断がつく必要もあるでしょう。
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■A顧客の経験
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顧客の経験としては、例えば、これまで、「どんな商品に」、「いつ位に」、
「各商品ごとにどれ位の期間投資経験があるのか」等、過去の具体的な投資経験を把握する必要が
あります。
顧客の投資経験や判断能力が不足すると思われるような場合には、より詳細な説明を行ったり、
場合によっては、無理に購入しないようにお勧めしたりすることも必要です。
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■B顧客の財産の状況
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顧客の財産の状況としては、例えば、現状の資産総額、その内訳、投資割合等を正確に把握する
必要があります。
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■C金融商品取引契約を締結する目的
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金融商品取引法が施行される以前の「証券取引法」でもこの「適合性原則」は取り入れられていま
したが、当時は上記@〜Bの3要素のみが列挙されていました。
金融商品取引法の施行に併せて、投資家保護をより強化する観点から、
C金融商品取引契約を締結する目的(つまり、投資目的)が、新たに考慮すべき項目として追加
されました。
顧客の投資目的としては、「将来の蓄えとして少しずつ運用していきたい」
「余剰資金で、ハイリターンを狙って積極投資をしたい」「元本の安全性を重視したい」などの
具体的な投資目的を把握し、その目的にふさわしい金融商品、時期、期間等をお勧めする必要が
あります。
この「適合性の原則」に従って、最近ではインターネットでの証券口座開設等に際しては、
投資経験や資産、投資目的等の申告を求められた上で、
選択した金融商品と投資目的とが大きく異なる場合や取り扱いが難しい年齢・投資経験だと、
お断りのメッセージが出てくる場合もあるようです。
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■□│3
:社団法人・日本証券投資顧問業協会の対応
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┃今┃年4月以降の金融ADR制度の導入に併せて、
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この10月から<社団法人・日本証券投資顧問業協会>に入会された方も多いのでは
ないでしょうか。
社団法人・日本証券投資顧問業協会では、
投資者の保護と投資運用業および投資助言・代理業の健全な発展に資するため、
様々な自主規制規則を制定し、その実施状況等を日々管理しています。
当協会の定める「協会員の投資勧誘、顧客管理等に関する規則」の第5条には、
「適合性の原則」を受けて、金融商品取引業者に対応を求める条文があります。
顧客カードの整備はできていますか?
以下は、「協会員の投資勧誘、顧客管理等に関する規則」からの引用です。
ご参照下さい。
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〔協会員の投資勧誘、顧客管理等に関する規則〕
第五条 (顧客カードの整備等)
協会員は、有価証券の売買その他の取引等を行う顧客について、
次の各号に掲げる事項を記載した顧客カードを備え付けるものとする。
1、氏名又は名称
2、住所又は所在地及び連絡先
3、生年月日
4、職業
5、投資目的、
6、資産の状況
7、有価証券投資の経験の有無
8、取引の種類
9、顧客となった動機
10、その他各協会員において必要と認める事項
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※弊社では、お客様の業務内容、取り扱う金融商品、顧客層等に応じた顧客カードの提供を
行っております。
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■□│4
:最近の判例
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┃様┃々なリスク性商品が出回り、一般の投資家でも簡単に購入できる昨今、
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この「適合性の原則」をめぐっては、説明義務との関係もあって、裁判でも度々争点となって
います。
これまでにも「適合性の原則」違反が認められた判例はいくつかありますが、
基本的には、複雑かつハイリスクな金融商品に関して、顧客の商品に対する理解力を超え、
かつ顧客のリスク許容度を超えた金融商品の勧誘に関しては、
判例上も「適合性の原則」違反と認められるケースが多いようです。
直近では、野村証券の案件を巡って、
「統合失調症で治療を受けていた女性に対して、野村証券(東京都中央区)の社員5人が
リスクの高い金融商品の取引を持ち掛けたのは違法」というような判例がありました。
証券会社側は、当該女性が精神疾患だったことを知らなかったと主張しているようです。
その他にも、こんな判例があります。
・静岡地裁 平成8年
顧客が株式取引を始めてまだ日が浅いにも関わらず、
証券会社営業マンの度重なる勧誘を受けて、短期間に売買を繰り返していたケース
・名古屋地裁 平成12年
年金生活者で余剰資金が少ないと推測される老夫婦が、
借入をさせられた上、投資信託を購入させられたケース
・東京地裁 平成11年
証券会社が、高齢の主婦に対して日経225株価指数オプション取引を勧誘したケース。
特にオプション取引については、十分な投資経験と深い知識がなければ、
適合性が認めらないとされた。
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